公益法人改革
今月,公益法人制度を抜本的に見直す「公益法人改革整備法」が施行された。これに伴い,中間法人法は廃止され,既存の中間法人(注参照)は,一般社団法人・財団法人法に基づく一般社団法人に移行する。公益社団・財団法人数は2万4776法人(国の所管6720人,都道府県所管1万8056法人)。それぞれ主務官庁の監督下にあった。新しい制度では遅くとも2013年11月までに認可を受けて一般社団法人に移行するか,または認定を受けて公益社団,公益財団に移行するか,または解散するか選択しなければならない。
それまでの5年間は,特例民法法人として存続し,選択の考慮期間が与えられる。
今まで公益法人の内部留保は公益事業の適切かつ継続的な実施に必要な程度とされていた。ところが,主務官庁の監督は十分でなかった。財団法人「ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団」(現中小企業災害補償共済福祉財団)の創立者古関忠男が、「ものつくり大学」設置を目指し、政界工作を自由民主党議員に対して展開したとされる汚職事件の温床にもなった。最近は国土交通省の出先機関である北海道開発局と関係の深い公益法人5団体の内部留保(余剰資金)が計32億円に及び,国の基準である「総事業費の3割以下」を大幅に超えていることが問題になっている。うち3団体は,07年に開発局と結んだ契約の全てが随意契約で,今日のOBが職員の半数を占める団体もあった。つまり税金が,公益法人の事業に使われ,かつ溜め込まれていたことになる。
公益法人は,もともと利潤の獲得,蓄積を目的としない団体である。正確に言うと,収益があっても社員や会員など関係者に分配しない団体である。営利が目的ではない。余剰金は利益配当できない(税法上の「収益事業」(宗教法人のお守りやお札の類の販売、学校法人の教科書など教材の販売は除く)不動産販売,金銭・物品・不動産貸付,製造,通信,運送など)をすることで利益が出れば法人税,所得税を納税)。各年度に必要な事業費は国から出される。内部留保は必要ない。内部留保していたということは,不必要な金を国から引き出していたことを意味する。不必要な予算を計上して消化しなかったことになる。適正価格で契約し事業したはずなのにである。余剰金を職員の給料に充てることはできるから,仕事をしないOBがどんどん増える。退職公務員の温床になるはずだ。ほかにも公益法人への無駄な支出は,分かっているだけでも06年度比で37%(3500億円)ある。居酒屋タクシーも,税金の無駄遣いである点は同じである。
また,公益法人が実施してきた共済や互助会が問題になっている。すでに民法特例法人となった公益法人のうち,互助・共済の性格を持つ法人は,3760法人。うち共済を主目的に運営している法人は990。共済事業が続けられないおそれが出てきたのである。もし,共済事業を継続したまま新法人に移行すれば,無承認,無許可の保険事業者になる。これは保険業法違反である。公益法人が今のうちに保険会社を設立して,保険契約を移転させる。既存の保険会社に事業を譲渡する。保険業法が適用されない保険契約者数に縮小する。などの対策が考えられる。(東洋経済11.29)
もともと保険事業は不特定多数人,一般に公開された危険負担制度である。共済は相互扶助が原則であり公開されていない。ところが,団体員のためとはいいながら簡単に構成員になれ,容易に共済をえられる。農協,生協,中小企業協組合共済がそうである。(県民・府民・都民共済は保険事業そのひとつ。1970年に埼玉で起きた通勤途中の死亡事故をきっかけに、県民共済が始まり,その「一律掛金・一律保障」「大きな保障と小さな掛金」等は、39都道府県に広がっている。都道府県民共済グループは、共済事業を営む「消費生活協同組合」であり、非営利の組織とされている。)しかも内容は営利目的の保険事業と変わらない。だから共済に保険法(商法を一部改正)が適用されることになった。
テーマが保険の改正に移りましたので,改めて説明させていただきます。
(注)中間法人法
社団で,社員に共通する利益を図るのが目的。剰余金を社員に分配しない。株式会社や有限会社と同様に、準則主義で法人格を取得。マンション管理組合,同窓会も中間法人になれたが,実例は殆どない。不動産証券化に有限中間法人を利用するという変則的なやり方が見られた。法人名義で契約でき,資産をもてた。代表者個人の名を借りる必要がなかった。社員のための非収益事業(相互親睦事業)や,必要に応じて収益事業(例:書籍の出版)や公益事業(広く不特定多数のための利益に資する事業)もできた。中間法人に事業目的の制限はなく,公益性のあるもの私益のもの,どちらも対象になる。
そもそも、自ら定めた規律に基づいた人の集まりに対して法人格を与えるための制度で、公益性を目的としたものではないが、その対象は NPO法人の対象も公益法人の対象も含まれた。
NPO法人(98年の特定非営利活動促進法)は,公益性の高い非営利団体で、事業目的が17分野に該当すれば、NPO を選択できる。NPO は主に市民団体を想定した法律で、事業者が構成員になることを制限していない。公益性が高くても、この17分野に該当しなければ NPO 法人になれない。理事は3人以上必要。役員報酬はその 1/3 の人しか受給できない(私も無給の監査役です)。


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