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March 13, 2007

上場維持の判断基準              

東証は12日、日興コーデイアルグループの株式上場を維持すると発表した。
理由は「不正会計が組織的、意図的とまではいえない」、したがって虚偽記載の影響が重大な場合は上場を認めないという東証の上場廃止基準に該当しない、というもの。これで日興株は監理ポストから解除され、子会社化を狙っていたシテイグループの支援を受けて株の争奪戦が激化することになる。
上場廃止確実と見られていたのが上場維持とは、一体どういう判断基準に拠ったのだろう。
東証は官庁でもなく、権威のある機関でもない。金融庁の監督を受ける民間会社(市場管理者)だ。市場で株式が適正に取引されるよう管理するのが仕事である。
証券取引所の自主規制の本分は、市場の透明性・公平性を確保し、投資家や上場企業が安心して市場に参加できる環境を保つことにある。上場廃止制度は、市場に並べる取引商品としての価値を失ったものや、取引の継続で投資家に著しい不利益が生じる恐れのあるものを市場から除外する措置のことだ。
 「有価証券報告書の虚偽記載」で上場廃止となった最近の西武鉄道、カネボウ、ライブドアには、すべて上場廃止となるべき重大な商品欠陥があった。カネボウは経営者自ら、大幅な債務超過の粉飾を「指示」していた。西武は約40年間も株主名簿を偽り、「組織的に」運用し、株主権利を保護する適格性を欠いた。ライブドアは、「経営者が」市場の価格形成の生命線である適時情報開示の責任能力を失った。
 日興は、有価証券報告書に虚偽の記載はあるものの、赤字や債務超過をもたらすような虚偽記載はなく、したがって市場に与える影響は大きくなく、退場を迫るほどの「組織的・意図的」虚偽記載ではないという説明である(西室泰三東証社長)。水増しは経常利益にあったようだ。
対象が証券会社だから甘いのか。ここでも重要なのは、廃止基準の運用・判断である。余りに柔軟だと、判断基準としての意味がない。 
先月24日には、「多くの法律家の意見を取ったが、全部が上場廃止だった」と答えていた。西室社長は、法律家の意見に従わなかった。廃止基準に該るという専門家意見があるのに、これに従わなかった。この柔軟性が意味する問題は、今後東証の信頼性に向かわざるを得ない。ISO9001の品質管理システムも民間基準に過ぎないが、内容がきちんとしていれば広く採用されることにより公正妥当な品質管理基準としての正当性を得ることができるだろう。東証も上場廃止基準を明確にすることにより、株式が上場されていることへの信頼性を内外にアピールすることができる。
「組織的」「影響が重大」という基準は解釈に幅がありすぎる。
 廃止が投資家に与える影響を心配しての監理の解除だと、東証が信頼を失う。監理ポストのまま約3ヶ月たって、廃止の報道も十分流され、予想と異なる監理ポスト解除では市場の管理人(番人)の仕事にふさわしくない。一般投資家は情報が伝わらない期間、どうすればいいのか。今になって、上場廃止とは言ってなかったはずだ、報道には残念だ、とはあまりに不十分な説明だ。
 課題は上場廃止基準の明確化。廃止事例の蓄積は困るが、時間がたちすぎてこの程度の説明しかないのであれば、取引所規則にきめ細かい基準を設けて裁量を狭めるしかないのだろう。

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